「実はコロナにとって、自然対流形石油ストーブとしては34年ぶりの新製品でした」と今回、製品のデザインを担当した佐藤は話す。若手のデザイナーだ。「自分が生まれる前からある製品を手がけるわけですから、その意味ではレジェンド的な製品を扱うやりがいやワクワク感を感じていました」
デザインを考えるにあたって、佐藤がまず手をつけたのは、アウトドア市場におけるさまざまな製品の傾向やユーザーの価値観のリサーチだった。特にカラーリングについては強く意識した。というのも、今回開発するSZ-F32が、他のアウトドア製品と同じ空間で用いられるときに、ユーザーが違和感を覚えることなく、しっくりと調和する色合いを出したいと考えたからだ。同時に、自然のフィールドとの調和が取れるカラーリングであることもポイントとした。
「市場調査の結果、ダントツで多かったのがベージュを基調としたカラーリングでした。その結果を受けて、アウトドアユーザーのこだわりである他のギアとのカラーリングを揃える価値観を重要視しました」
市場調査の結果をプロジェクトメンバーと共有した上で方向性が決まり、佐藤自ら塗料の調合を重ね、生まれたのが「フィールドベージュ」。主張が強すぎない、落ち着いたカラーリングで、アースカラーの一種だ。
佐藤はさらにストーブ本体のデザインに工夫を凝らした。対流式のフォルムを活かすかたちで、丸みをさらに強調し、ランタンのような印象を与えたのだ。このことで、製品によりアウトドアギアらしさが生まれた。このSZ-F32は、デザイン面などを評価され、2023年度グッドデザイン賞を受賞している。